はじめに
幼・小・中・高教研、図工・美術部会、県義務教育課、県教育研究所、福井大学の図工・美術関係組織が連携し、福井型18年教育推進に向け研究を進めること、および図工・美術教育の果たす役割について県民や社会に広く発信することをねらいとして、平成25年4月、福井県造形教育研究会が誕生しました。
本研究会のHPでは、小から高までの発達段階を掴んだ系統的な指導(その時期だからできること、学びの積み重ねでできることなど)で、子どもに等しく図工・美術科教育の基礎的な学力を保障することを念頭に、異校種間の連携を視野に入れた教材データベースを用意しています。
教材データは、 福井県教育研究所の「図工・美術指導ユニット」の形式を引き継ぎ、県の財産として共有し伝えていくために、先生方の授業事例を集めています。
実際に造形ユニットで互いのアイデアを授業で用いることで、経験を共有しつつ、検討、追加、改善、整理・更新し、継続して学び合う活動を通して、普段の授業の充実と、ベテラン教師の授業力の継承のできる場、更に学習履歴の継承と校種間接続の手立てとなることを目指しています。
本教育関係者が全体を俯瞰して課題解決を探り、新たな授業研究(異校種授業理解、評価の共有、学習履歴の継承、限られた授業数の中でも確かな学力をつける系統的な授業の研究やカリキュラムの研究等)を進めることで、福井県全体の図工・美術教育が一層の向上を図ることができますよう、ご協力のほどよろしくお願いいたします。
● 図工・美術指導ユニットとは
ユニットは、単発的な題材紹介集ではなく、創造活動を充実させる授業づくりの力を向上させるために、作品作りをねらいとするのではなく、制作を通した向こうにあるべき育成する力をつかんで授業づくりをするための支援ツールです。
具体的には、先生方が取り組まれている創造的な造形活動の授業を「授業デザインシート(題材シート)」で流れを記録し、授業の中の一つのねらいとその活動の最小単位を便宜上「ユニット」と呼び、A4一枚で記録したものです。(一題材で複数のユニットを作成することもあります。)これらを組み合わせることで柔軟に授業づくりができる形にしました。
授業づくりにはいろいろな考え方があり、多様な題材が考えられていますが、子供たちのやりたいという欲求の導き方で「材料ユニット」「方法ユニット」に分けて整理しています。
・あわせて教育研究所に「ユニット道具ボックス」が用意されており、貸し出しをしています。
地区の拠点校に「道具ボックス」を用意することを計画しています。
A:材料:材料との出会いの仕掛け。
ねらい:誰もが熱中できる環境づくりをし、子どもたちが材料から発想を引き出すことができるようにする。
活動:主に、いろいろな材料で繰り返し加工して表す体験を積むことで材料の特徴や扱いを知ると共に、新しい素材に出会ったときに、予想を立てて自ら試したり考えたりすることができる力をつける活動。
B:方法:創造的な技能を身につける仕掛け。
ねらい:たっぷり試行錯誤できる場を保障し、子どもたちが、つくりながら思いつき、また、考えながらつくることで技能を身につけることができるようにする。
活動:主に、技能を知ることで、表現の多様な展開を支える力をつける活動。
・ユニットは「図工ユニット項目表」で整理されています。